コンプレッションウェアとは

コンプレッションは圧迫という意味です。コンプレッションウェアは、体の各部に圧力を加えることで、パフォーマンス向上、疲労軽減、けが防止などを目的としてデザインされたウェアです。

疲労の軽減と、疲労からの回復サポート

体の各部を適度に圧迫することで、血流を促します。体に圧力を加えすぎると、血流が阻害されることはご存知かと思います。しかし適度な圧力であれば、逆に血の流れは良くなるのです。その仕組みを説明しましょう。

コンプレッションウェアによって血流が良くなる仕組み

腕を曲げると、腕の筋肉が膨らみますね。いわゆる上腕二頭筋です。力を込めると膨らみが目立つ人もいるかと思いますが、力をまったく入れなくても、膨らんでいるはずです。

そうすると、周辺の血管が、膨らんだ筋肉によって、押されます。すると筋肉がポンプのような役割で、血液を押し出す働きをして、血流を良くするのです。筋肉には血流を補助する働きがあるのです。体を動かす(=筋肉を動かす)と、体の血の巡りが良くなる一因です。

コンプレッションウェアで、外側から筋肉へ圧力を適度にかけると、筋肉が外側へ膨らもうとするのを制限するので、その結果、筋肉は内側へ膨らむ力が働き、血液をより押し出す効果を生むのです。

ではただ単にきつい服を着れば、筋肉全体を圧迫するので、血流も良くなるのではと考える人もいるかもしれません。しかし前述のように、圧迫しすぎると、逆に血の巡りは悪くなりますし、体の各部位には、締めてよいところ悪いところがあります。

ただキツイだけのウェアだと、きつすぎて逆効果もしくは圧が足りずに効果がないとか、締めるべきではないところまで締めて悪影響の恐れがある可能性もあります。そのあたりを気をつけて、適度な着圧を、適度な箇所に、加えるようにデザインされているのが、コンプレッションウェアなのです。

では血流がよりスムーズになると、なぜ疲労の回復が早まったり、疲労が軽減できるのでしょうか。

コンプレッションウェアで疲労軽減

血流が悪い状態だと、身体が必要とする栄養と酸素と水が、充分に体の隅々までいきわたりません。それだけでなく、不要な老廃物や二酸化炭素が、体外に排出されず、体内により長くとどまることになります。

その結果、体内の細胞が栄養をエネルギーに変換できず、細胞内に不要な毒素がたまり、疲労を悪化させるのです。コンプレッションウェアの着圧により血流を良くすると、このようなことを改善できる可能性があり、疲労の軽減や、疲労回復へ良い影響をもたらすことが、期待できるのです。

筋肉の無駄な動きを抑えるとパフォーマンス向上につながる

コンプレッションウェアによって適度な圧力を的確な箇所に加えることで、もう1つの効果が効果が期待できます。コンプレッションウェアの着圧により、体内の筋や組織が圧迫され、運動時の筋群や関節周りの動きに変化が生じ、それによりエネルギー消費が抑制され、運動の効率が向上するといわれます。

またコンプレッションウェアを着ながら運動すると、筋肉の振動が抑制され、それがパフォーマンス向上につながるといわれます。なぜ筋肉の振動を押さえることが、パフォーマンスを上げることになるのでしょうか。

コンプレッションウェアで筋肉の振動を押さえる

筋肉の振動は、例えばジョギングやウォーキングの際は、一歩ごとにおこっています。そして研究によれば、振動は筋力の低下につながることがわかっています。例えば人工的に大腿部に振動を与えた結果、膝関節の伸展筋筋力が低下することが報告されています*1。

そして別の研究では、コンプレッションウェアを着用することで、例えば、ランニングの場合、接地に伴う下腿筋群の振動が減少したことで、ランニングの接地中に生じる振動が抑制されたことが報告されています。そしてコンブレッションウェアを着用することにより、ランニング中に生じる筋疲労の要因となる振動に変化を及ぼし、コンプレッションウェアの有用性の一因が示唆された、と結論づける研究もあります。*2

*1
Wakeling,J.M.Nigg,B.M.& Rozitis,A.I. (2002) .Mu scle activity damps the soft tissue
resonance that occurs in response to pulsed and continuous vibrations. Journalof
Applied Physiology,93 (3),1 093・1103.
*2
順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科
コンプレッションウェアの着用がランニングにおける下腿筋群の振動に及ぼす影響
大野日向

コンプレッションウェアによる上半身姿勢の矯正

肩甲骨を引っ張り背筋を伸ばすことで、上半身の姿勢を正すようデザインされているコンプレッションウェアのトップスがあります。正しい姿勢で胸を張って運動すると、呼吸がより楽になり、体はもっと多くの酸素を体に取り入れることができます。

酸素がより多く体内に取り入れられると、体内のミトコンドリアが増え、エネルギー代謝がよくなり、パフォーマンスの向上につながります。酸素が取り入れやすいということは、マラソンやジョギングには、とても大切な要素です。
正しい姿勢は、酸素を多く取り入れられる利点だけではありません。

筋トレではベンチプレスでもダンベルベンチでも多くの種目で、肩甲骨を寄せるように指導されます。要するに胸を張った姿勢です。そうしないと、筋肉のトレーニングが、正しいところに効かないからです。コンプレッションウェアはそのサポートになります。

コンプレッションウェアによる足のテーピング効果

脚は第二の心臓と呼ばれます。脚の筋肉を刺激すると、身体の最も血流量が多い脚の静脈の血液を、素早く心臓に送り返すため、全身の血流が良くなります。またテーピング機能のついたコンプレッションウェアは、膝などの関節をサポートし保護するので、怪我のリスク軽減効果が期待できます。

すぐれた速乾吸収・防寒効果

コンプレッションウェアは、「速乾性」、「吸収性」に優れています。汗をかくほど冷えて、体感温度が下がるよう設計されています。また常にドライで、快適さをキープすることができます。

コンプレッションウェアを選ぶ際に気をつけたいこと

以上にあげた期待される効果が、コンプレッションウェアによっては、含まれていないものもありますのでご注意下さい。パフォーマンス向上に特化してデザインされたもの、疲労回復やけが防止を主な用途とするもの、もしくはいずれにも当てはまらないもの、コンプレッションのタイプやメーカーなどにより、さまざまです。

ショップやネットで探す際は、用途や運動種目をまずは明確にすることをおススメします。例えば「マラソン初心者に適したコンプレッションウェアを探している」「いま野球のユニフォームの下に着ているインナーよりも、もっと涼しくて、できれば動きやすいものが良い」「筋トレ用のTシャツが古くなったので、パフォーマンス向上に少しでもつながるようなコンプレッションウェアが欲しい」などを店員さんに伝えるか、それに向いたものを、ネットで探してみて下さい。

例えば、ジムで上半身の筋トレが目的の人が、ふくらはぎのテーピング効果が主な用途のコンプレッションウェアを買ってはもったいないです。

それと、コンプレッションウェアと似た外見のウェアとして、加圧シャツがあります。どちらも体にぴったりとしたウェアで、同じように見えますが、目的は異なります。加圧シャツは姿勢を正し腹圧を加えることで、ダイエット効果を期待するのが主な目的です。

同じような薄くてピチピチとした、主に黒いウェアですが、加圧シャツと、コンプレッションウェアで重なる部分も多少はありますが、基本的に用途は異なりますのでご注意下さい。

執筆者 痩田筋男について