痩田筋男痩田筋男

あなたのお腹は出てますか?体重は増えていないのに、お腹回りだけ太ってきている。体全体にそんなに脂肪はついていないのに、下腹部だけぽっこりしている。

お腹全体というよりも、おへそ周辺からその下にかけてもっと出ている。もしそうなら、そのぽっこり部分、実は脂肪だけではないかもしれません。脂肪でないのなら、いったいなんなのでしょうか。ポッコリお腹の中身は、意外なものなのかもしれないのです。

腹筋とは

まずは腹筋の役割と仕組みを見ていきたいと思います。腹筋は体の真ん中に位置する大きな筋肉です。その大きな役割は3つ。1つは、上半身を動かしたり支えたりすること。

上体を前に倒すときは腹筋を使い、後ろに反らすときは背筋を使います。立ったり座ったりと、体を縦の状態にしているときは、腹筋と背筋が協力して、ちょうどよくバランスを保っています。

ですから、腹筋がなければ、前かがみになることもできませんし、立ったり座ったりする姿勢も維持できません。また腹筋には前後の動きだけでなく、側面への動きや、上体を回旋させたりする働きもあります。

2つ目は、上体を動かすだけでなく、排便の際にも、わたしたちは腹筋を使っています。あまりにも腹筋を使わずに衰えさせると、すっきりした排便すらできません。

高齢者はそのせいで、排便が困難になったりしますが、若い、とくに女性は腹筋の弱さのせいで、じょうずに力むことができず、それが便秘の原因にすらなっています。

そして3つ目は、内臓を支えることです。

内臓を支える腹筋

わたしたちの内臓は、体格で差は出ますが、平均して20キロはあるといわれます。お店に売っているお米10キロx2と同重量ですね。

こんな想像をしてみて下さい。お店でお米10キロを2袋買って来ました。それを全部、ゴムのような柔らかい袋に、ザーッと入れ替えるとします。

するとどうなりますか?べたーっとだらしなく、まるでタコのように広がっていきますよね。みなさんの体もこれを同じです。柔らかい肉の袋に、20キロもの内臓が入っている状態です。

後ろは硬い背骨と背中の筋肉が支えています。だから背中が内臓のせいでぽっこり状態になることはありえません。前と両側を支えているのが、腹筋です。ここには骨がありませんから、すべて筋肉の力で支えているのです。

20キロのお米の入った柔らかい袋の、前と横を、ぐっと押さえつけてせり出てこないように手で支える、あなたの姿を想像してみてください。相当な力がいりそうですよね。

ものの数分で息が上がってしまいそうです。腹筋は常にこれをやっているわけです。そう思うと、本当にツライ仕事を、腹筋はやり続けているんだなあと感心してしまいます。

内臓下垂という症状

冒頭で、あなたのぽっこりお腹の正体は、じつは脂肪だけでないかもしれないといいました。ではいったい何でしょうか。ここまで読んでいただいた方はもうおわかりだと思いますが、内臓です。

では内臓が大きくなったのでしょうか。内臓のせいなのでしょうか。いいえ、腹筋の衰えのせいです。20キロの内臓を押さえ込む力がなくなってしまった、腹筋の衰えが、ぽっこりお腹の一因でもあるのです。

重力が働きますから、下へ行くほど内臓が押し出てくる力が強くなりますから、胃の周辺よりも、へその周辺の内臓のほうが、出てくるのです。これがいわゆる、内臓下垂という症状です。

よって解決法は、脂肪を減らすことではなく、ましてや内臓を何とかすることでもなく、腹筋を強くすることです。

腹筋は4つある

みなさんは腹筋が4つのまったく別の筋肉からできていることをご存知でしょうか。誰もが知っている腹筋は、お腹を中央部を胃の辺りから下腹部まで伸びている、いわゆるシックスパックのです。

正式名称は、腹直筋といいます。これは4つの腹筋のうち、最も外側にあり、内臓が前に出てこないように支える役目もしています。いわゆる腹筋運動をすれば、ここが主に鍛えられます。

ではここだけを鍛えれば、内臓は中にひっこんでくれるかというと、じつはそうではありません。もっと体の内側にあって、内臓に近い位置にある腹筋を鍛えないと意味がありません。

腹斜筋

これはお腹の脇にある腹筋です。外腹斜筋は腹直筋と同じように、体の外側に位置しているので、とくに鍛えた人には、はっきりと浮かび上がります。

たまに裸のマッチョな男性写真を見ると、お腹を斜めに走る膨らみを見たことがありませんか?腹筋がばきばきに割れているのだから、脂肪ではないはずだけど、やけにぽっこりとした線が、お腹の脇から下腹部にかけて出ているなあと。あれが外腹斜筋です。

男性だとそのように筋肉が盛り上がってきますが、女性の場合は、お腹わきを締めてくれますから、美しいくびれを作ってくれます。

もちろん女性でもボディービルダーのように鍛えれば、男性のように盛り上がってきますが、普通のトレーニングでは無理です。そして内腹斜筋は、外腹斜筋の下にあり、外から触れることはできません。

腹横筋

そして最後に登場するのは、腹横筋です。もっとも深部にあり、内臓に最も近い腹筋です。腹斜筋の更に内側にあるので、触ることはおろか、感じることすらできません。

この筋肉のことを気にしたことのある人は普通はいないはずです。しかしこの腹横筋こそが、内臓を内側に押さえつける、最も大きな役割を担っているのです。

腹横筋の衰えこそが、内臓下垂の最大の原因の1つであり、腹横筋を強くすることこそ、内臓を押さえ、ぽっこりお腹を解消する、ベストな方法なのです。

やっかいな腹横筋

この腹横筋を鍛えたいのですが、じつにやっかいな筋肉です。トレーニングマニア泣かせの筋肉なのです。なぜかというと、特定部位の筋肉を鍛えようと思ったら、たいていはジムにそれ専用のマシンがあるものです。

わたしはゴールドジムよりもマシンが充実しているジムに通っており、他のジムではまず見ないようなマニアックなマシンが多々ありますが、そこですら腹横筋をメインに鍛えるマシンはないのです。

ひょっとしたら世界に存在すらしないかもしれません。もちろん、シットアップと呼ばれる、通常の腹筋運動では、腹横筋は鍛えれません。

これを逆から考えると、腹横筋は、個人でもプロと同じように鍛えられるということでもあります。大金を払って特殊なジムに行く人も、自宅で器具なしでトレーニングする人も、腹横筋の運動に関しては、まったくの同条件なわけです。

ドローイング

では腹横筋を鍛えられる種目は何か。これが非常に楽で地味なトレーニングなので、拍子ぬけするかもしれませんが、ドローイングと呼ばれる種目です。簡単にいうと、お腹をひっこめるだけです。実践してみましょう。

やり方

  1. 普通に立って下さい
  2. 息を吐きながら、お腹を限界までひっこめます
  3. その状態をキープ

ただこれだけです。ジムですら鍛えるマシンがないというのに、あまりにもあっけない方法ですよね。しかしこれこそがまぎれもなく、腹横筋を鍛えるのに最も効率的な方法なのです。

ただこれだけでは何なのでコツも伝授します。

コツ

慣れてくれば、息を吐きながらお腹を引っ込める必要はありません。ただお腹をひっこめるだけでいいです。呼吸と腹横筋トレーニングとはあまり関係ありません。背骨を曲げて、前かがみにならないように気をつけてください。

最初は立ったほうがやり易いですが、座っていても可能です。そして間違えやすいのが、肋骨のふくらみです。ドローイングで最もやりがちなミスが、お腹を引っ込める最に、肋骨下部が膨らんでしまうことです。

わたしも最初の頃はこれをやってしまったので、まったく効果が感じられませんでした。ですから最初は、お腹だけでなく、肋骨中央下部にも手を置いて、肋骨が膨らまないようにしてください。

慣れれば、肋骨が膨らまないどころか、お腹をへこませるのと同時に、肋骨下部がしぼんでいきます。ドローイングは一見とても簡単な種目ですが、ここだけが難しい点であります。最初は、お腹よりも、肋骨がひっこんでいることに注視してください。

慣れてきたら

慣れてきたら何分も続けることができます。歩きながらだって可能です。お腹をひっこめるだけですから。ただし何の筋肉トレーニングでも同じですが、止めればたちまち衰えますから、継続が必要です。

継続するには、生活習慣に組み込むのがベストです。例えばわたしは、夜、パジャマに着替えて歯を磨くときに、必ずやるようにしています。お腹がでる状態にしておけば、歯を磨いていても、忘れることなくドローイングを継続できるからです。

このように毎日する習慣とドローイングを関連づけておくと、熱が冷めても、継続できるようになります。わたしはこの原稿を書きながら、パソコンを使いながらドローイングをしていますが、本当に久しぶりです。

ドローイングを始めた当初は、一日のうちしょっちゅうやっていたのですが、やがてやらなくなってしまいました。結局残ったのは、歯磨きのタイミングだけでした。ただそれがあったからこそ、いまだに継続できています。

本当に効き目があるのか

始めた当初は、腹筋の脇の部分に負荷を感じ、おっ効いてるな、と実感できたものですが、日がたって慣れてくると、何も感じなくなります。そんなときわたしは海外に1週間以上行くことがあり、その間まったくドローイングを忘れてしまいました。

そして自宅に帰って久しぶりにドローイングをやると・・。ものすごく効いているのが実感できました。軽い筋肉痛すら感じました。1週間以上まったくやらなかったせいで、退化していたようです。

怪我の功名でしょうか。さぼったおかげで、ちゃんと効果があったのだと実感できました。

太ると教えてくれる

皮下脂肪はともかく、腹横筋は、内臓脂肪の増加に敏感な気がします。少し重くなっただけで、腹横筋の負担が増えるわけですから。脂肪が数百グラム増えただけで、腹横筋が使わなくてはならない労力は相当増えるのでしょう。

実際わたしは、海外などで羽目をはずして太ると、特にドローイングをやる際に、腹横筋が「内臓脂肪増えたよ」と教えてくれる感覚があります。

痩田筋男痩田筋男

更に上級者には、寝てドローイングをやりながら、手足をばたばた動かす方法もあります。ライザップでも教えているようで、「ライザップ 腹横筋」で動画が検索できます。

執筆者 痩田筋男について