ダイエットは太るためにする過酷な儀式

ダイエットとはいったい何でしょうか。もちろん痩せることをそういいますが、ダイエットとは太るためにする過酷な儀式ともいえます。

なぜなら、ダイエットの9割は成功しない(=持続しない)し、たいていはその後、一時的ですが、ダイエット前よりも少し太るからです。

つまり、ダイエット中に空腹と闘うという行いは、その後に太るための通過儀式にすぎないというわけです。太りたいがために、わざわざ何日も何週間もお腹をすかしておく。

客観的に見ると、とても愚かなことですが、これが多くの現実のダイエットでもあります。きっとこれを読んでいる人も経験したことのある人は多いでしょう。

食事制限の愚~世界で最もおいしいスパイスは空腹の忍耐

空腹は世界最高のスパイスといいます。さほどおいしくない食事でも、空腹という世界最高のスパイスを振り掛ければ、あら不思議。世の中でこんなにおいしいものがあったのかというくらい、おいしく感じます。

みなさんもきっと経験ありますよね。ものすごく高級な食事よりも、お腹ぺこぺこのときに食べたおにぎりの味が忘れられないといった経験が。

断食(ファスティング)は食べ物への欲求を最高に高める方法

断食(ファスティング)は、短期間で劇的に痩せるダイエット方法として有名です。芸能人が試したりしたことでニュースサイトにすら登場することもあります(ただしAKBのメンバーが栄養失調になったりしましたが)。

苦しさも数日ですむし、なにより効果は絶対にあるようだから、チャレンジしようかなと思う人も多いでしょう。しかし、ここにもリバウンドの罠が待ち受けています。

断食中は、普段からは考えられもしないくらい、食べ物のことばかり考えるといいます。それこそ一日中、食べ物のことで頭がいっぱいになるそうです。

人によっては、朝から晩までクックパッドをスマホで見ていたといいます。飽食の現代ではありえないほど、食べ物に対して飢えと願望がつもっていくわけです。

おあずけの効用

これは食欲に限らず、何でも同じですね。「おあずけ」をくうと、欲望が倍増するという。企業でも、待たせても売れると確信した製品は、生産を調整して、わざと、在庫切れや入荷待ち状態を作って、消費者を枯渇させるといいます。

男女間でも「おあずけ」テクを使った人はいるのではないでしょうか。限定品とか期間限定とかも、同じことです。人の欲望に枯渇というスパイスをふりかけているわけです。

あまり好きでもないのに、おあずけというスパイスが盛られると、好きになってしまうことすらあります。

このように一般的な欲望ですら、おあずけを食うと、より欲するという習性が人間にはあります。ましてや食欲となれば、心理的だけでなく、胃が物理的にも飢えるわけですから、強烈です。

食事を我慢することで積もっていく欲望の増大の仕方はものすごいことになります。ダイエットの9割は失敗する、そしてほとんどがリバウンドする、というのはむしろ自然といえるのではないでしょうか。

1日の暴飲暴食で台無し

しかもダイエットはたった、1日の暴飲暴食で、それまで何週間も制限してきたとしても、おじゃんになります。

ダイエットの最中ずっと、体がいまかいまかと、食べ物を脂肪に変えるために、待ち受けていたからです。食べた食物は、見事に脂肪となり、体から排出されることなく、あなたの体に残ることとなります。

リバウンドの仕組み

ちなみにリバウンドの仕組みはこうです。ダイエット中に、食事の量が減ることで、体が危機を感じて、体質を飢餓モードに変えます。飢餓モードとは、少ない食物で、体をマネージしていく仕様です。

具体的には、まずエネルギーを最も消費する筋肉を減らします(肝臓と脳もエネルギーを大量に使いますが、ここをいじると身体機能に障害が生じるため必要最低限しか減らしません)。

同時に、さらなる飢餓に準備するため、消費エネルギー以上の栄養は、脂肪として体内貯蓄する体質にします。こうすることで、体にとってはただの迷惑な飢餓状態(ダイエット)を、耐えしのごうとします。

これがダイエット中に起こっている、わたしたちの体の状態です。そんなときに、必要以上のエネルギーが摂取されたら、どうなるでしょうか。

体は喜んで、せっせとそれらを、これから再び来るであろう飢餓に準備するため、脂肪として溜め込みます。まるで砂漠に久しぶりに雨が降ったように、体は勢い良く栄養を取り込み、喜々として脂肪にします。

体の本人がダイエットを止めたなんて、おかまいましに。これがリバウンドの仕組みです。

ダイエットは無駄か

では、ダイエットというのは、無駄なんでしょうか。無駄どころか、体重がやる前よりも増えるなんて、むしろやってはいけないものなのでしょうか。イエス。といってしまえば、身の蓋もありません。

わたしたちは、痩せたいのです。では解決策はあるのでしょうか。あります。唯一の解決策は、ダイエットを持続させること、もしくは、止めてもリバウンドしないことです。

ダイエットを持続させるのは難しい

ダイエットを持続させるのは、確率的にいっても、非常に難しいです。なにせ9割は失敗するのですから。しかしもし失敗しても、リバウンドさえしなければ、プラスマイナスゼロなので、損はしません。

ダイエット後のリバウンドの確率は9割よりは低いはずなので、リバウンドしない方法を考えていきましょう。

リバウンドさえしなければ、どれだけダイエットに失敗→挑戦を繰り返しても、怖くありません。

リバウンドに備える

リバウンドの原因は、体質がダイエット(飢餓)モードなのに、食事が通常の量だと、それが脂肪になることだと書きました。これは、ダイエット後、少しずつ食事の量を以前のように戻していけば済む話です。

ダイエットを止めた途端に食事の量を増やすから、体は急に脂肪に変えるわけですから、ゆっくりじっくり、体に飢餓モードから通常モードに変わっていってもらえば問題ないはずです。

むしろ問題なのは、ダイエットを止めた途端に、反動で、食事の量を増やしたがる、メンタルな部分です。前述した、積もりに積もった、増大した食欲です。

これを抑えることが、重要な点です。ではこれは、ダイエット後になんとかなる問題でしょうか。わたしはそう思いません。ダイエット後は、抑えに抑えた食欲が暴走した状態なので、既に事遅しです。

ダイエット後のリバウンドの原因となる増大した食欲は、すでにダイエット中に対策を練っておく必要があります。

リバウンドしないためには

では具体的にダイエット中に何ができるのでしょう。なるだけ空腹を感じないようにすることです。

少しでも食欲を感じたら、食前・食後に関わらず、おやつや間食をとってしまうことです。そうすれば、ダイエット中でも必要以上に食欲を高めることなく、ダイエット失敗後にも、反動で食べ過ぎるということもなくなります。

おやつや間食すれば、もっと太るですって?いえいえ。太らないものを食べたり飲んだりすればいいんです。

無糖ガム、するめ、あたりめ、煮干し、ナッツ類、こんぶ、大豆クッキー、お茶、水、無糖コーヒーなどなど、世の中には太らない食材であふれています。

これらを少しでもお腹がすいたら食べたり飲めばいいわけです。食事前にもおかまいなしに、これらを食べたり飲んだりすれば、食欲も減りますので、食事の量を減らすこともより簡単になります。

それでも○○を強烈に食べたいと思ったら、さっさと食べてしまうことです。ダイエット中にも適度に手を抜いて、欲望を高めないというのは、テクニックの1つです。

逆に、ダイエットに対し、完璧主義であったり、あまりにも綿密な計画を立てるタイプの人は、リバウンド赤信号です。ダイエット中にも適度にズルとして手を抜いて、欲望を高めすぎないように気をつけましょう。

足りない満腹感

もう1つ触れたいのが、ダイエットをした人なら経験したことがあるかもしれない、ダイエット後の満腹感の感じにくさです。

ダイエット前の食事の量に戻しても、感じるはずの満腹感を感じなくなっているのです。ダイエット後に食事の量が増える、リバウンドの原因の1つです。

これは、レプチンと呼ばれる、満腹中枢を刺激する、脳からの分泌物質が原因です。レプチンが脳から分泌されないと、いくら血糖値が上がっても、胃が一杯になっても、わたしたちは、満腹だと感じないのです。

ダイエットするとレプチンが分泌されにくい体質になってしまっています。このレプチン分泌が変になっている状態は、ダイエットにもよりますが、ダイエットを止めても、一ヶ月くらいは続くといいます。

この間の対策としては、ゆっくり食べることと、よく噛む事です。しかしこれが難しい人は、これが適量だと思う分食べたら、箸をいったん置いて、ガムをしばらく噛んでみましょう。

それでもだめなら、歯をみがきましょう。歯を磨くのが困難なら、歯磨き粉を歯に塗りましょう。

こうすれば、きっと食欲は消えるはずです。強引に食欲を消すことになりますが、あなたの体は、充分な栄養素を摂取したはずですから、ご心配なく。

執筆者 痩田筋男について