腹筋の重要性

腹筋は、体のど真ん中にある筋肉で、上半身のほとんどの動きに関わってくるとても重要な部位です。上半身を前後左右に動かしたり、ねじったり回したりするだけでなく、呼吸のときにも使っています。

排便のときにも腹筋を利用します。腹筋がなければ起き上がることすらできません。また普段は意識していませんが、あばら骨のない内臓部分が飛び出さないよう、ぎゅっと中に抑えてくれているのも腹筋です。

腹筋というと、お腹を細くしたり、シックスパックを見せたりといった観点で見ることが多いですが、もともと大変重要な役割を持つ部位です。

腹筋の構造

腹筋は大きく分けて、4つの異なる筋肉から構成されています。

  • 腹直筋
    縦の繊維です。主に、体を前に曲げるための筋肉です。腹筋の一番外側で、真ん中にある、いわゆるみなさんが想像する腹筋そのものです。この筋肉がはっきり見えることを、シックスパックともいいます。腹筋というと、一般的にはこの腹直筋を指します。
  • 外腹斜筋
    斜めの繊維です。側屈や回旋運動を行います。腹直筋の両サイド(お腹わきの部分)にあります。女性はここを鍛えることで、お腹のわきがしまり、くびれを作ることができます。
  • 内腹斜筋
    斜めの繊維です。外腹斜筋の内側にあり、側屈や回旋運動を行います。外からは触れず、身体の内部にあるので、インナーマッスルと呼ばれます。外腹斜筋の内側にはりついて、腹壁として機能します。体を動かすだけでなく、腹腔内圧を高め、内臓の位置を固定し、排便をサポートします。
  • 腹横筋
    横の繊維です。内腹斜筋の内側の、最深層にある、内臓に触れている腹筋です。ここは通常の腹筋運動では鍛えることができない箇所です。体幹トレーニング・コアトレーニングなど、特殊な鍛え方が必要です。鍛えるのには非常に面倒な筋肉ですが、ここを鍛えたがる人は、とても多いです。なぜなら、後述しますが、鍛えにくいがゆえに、衰えている人が多く、それがぽっこりお腹の原因にもなっているからです。

腹筋が弱くなるとどうなるか

腹筋が弱くなると、ぽっこりお腹になります。腹筋の一部の腹横筋は、その大きな役割が、内臓を中にぎゅっと押し込める働きです。内臓というのはとても重いもので20~30キロにもなります。

あばら骨で内臓の上部は囲っていますが、下部は腹筋だけでぎゅっと中に押さえつけているのです。あなたがもし、30キロもする、柔らかい袋に入ったお米を、まっすぐに立たせるために、全身を使って押さえつけている風景を想像してください。

きっと20分も持たずに、疲れ果ててしまうと思います。腹筋はそれを、寝ているとき以外、常にやっていてくれるのです。ものすごい根性と力ですよね。

この腹筋の衰えのせいでぽっこりお腹になることを、内臓下垂といいます。年をとってくると、体脂肪が増えていないのに、お腹が出てくるのは、腹筋の衰えで、内臓がせり出してくることが多いのです。

まったく鍛えていないひとは、20代でも出てくる症状なので、一度チェックしてみてください。痩せて脂肪もほとんどないのに、下腹部だけポッコリしている人。

お腹の出方が、下に行くほどひどくなっている、いわゆる洋ナシ体型の人。こんな人は、腹筋の衰えによる内臓下垂である可能性が高いです。

排便しにくくなる

腹筋は排便にも使いますから、腹筋が衰えてくると、すっきり排便できません。高齢者になるとそれが顕著になるので、福祉関連のお仕事をされている方は、ご存知だと思います。若い方でもとくに女性で便秘気味のかたは、腹筋が弱いことも大きな理由の1つです。

腰痛の原因になる

座ったり立ったりしているとき、わたしたちは腹筋と背筋で体を倒れないように支えています。腹筋が弱くなると、背骨にかかる負担が増えます。すると、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などが発症し、腰痛をともないます。

腹筋運動をあまりおすすめできない理由

腹筋が重要だとご理解いただけたでしょうか。ではさっそく腹筋運動といきたいところですが、ひとつ落とし穴があるのです。なぜなら、通常の腹筋運動は、腰を痛めやすいし、時間もかかるからです。

おそらく多くの人が通常の腹筋運動を試したことがあると思います。そのとき、疲れたり痛くなったのは、腹筋ではなく、腰だったのではないでしょうか。

そして腰痛を避けるために、上体を少しだけあげる腹筋運動に変えたら、負荷が弱く、相当な回数をこなさなくては、腹筋を鍛えることができなくなってしまい、長時間使ってしまうことになります。
ここでおすすめなのが、腹筋ローラーです。

腹筋ローラー

わたしは自宅用トレーニング器具で大事なのは、安い・軽い・小さいということだと思っています。高い・重い・大きい器具は、もう絶対に生涯続けるんだという強い意志がないかぎり、めったに手を出すべきではないと思います。

そうした意味で、腹筋ローラーは良いです。1000円代前半ですし、とても軽く小さいので、トレーニング器具としてはかなり優等生です。もちろんそれだけではありません。

自重で腹筋運動するよりも、ずっと鍛えられ、それが実感できやすいのです。

初心者から上級者にも

腹筋ローラーは、ただ棒に2つの車輪がついただけの簡単な構造ですが、初心者だけでなく、筋トレ上級者にもつらい負荷を、短時間で感じることができます。上級者向けのメニューにも使えますから、やろうと思えば何年でも現役の器具として使えます。

ほかに鍛えられる部位

腹筋ローラーは、体を腕で支えますので、通常の腹筋運動とは違い、体のいろいろな場所が、同時に鍛えられます。腹筋以外には、腕、背筋、肩も鍛えられます。


  • 上腕三頭筋で、腕の付け根からひじまでの腕の裏側の部分です。ここを鍛えると、女性は引き締まった二の腕になりますし、男性はたくましい腕になります。

  • 三角筋で、ここを鍛えると、女性はバストアップが期待でき、男性は広い肩幅ができます。
  • 背中
    脊柱起立筋と広背筋です。これらを鍛えると、背筋が伸びるようになります。広背筋は男性の場合、逆三角形の体型につながります。
  • 体幹
    いま流行の体幹もしっかり鍛えることが出来ます。コアトレーニングとか体幹トレーニングと呼ばれるものですが、腹筋ローラーはまさに体幹を鍛えるのに適しています。体幹を鍛えると、腰周りの筋肉(腹筋のインナーマッスル)が鍛えられ、お腹周りが引き締まります。また腹筋インナーマッスルが鍛えられ、内臓をしっかり支えるので、ぽっこりお腹が解消されるだけでなく、内臓のズレのせいで生じていた便秘の改善も期待できます。体幹とは体の中心のことですから、ここを鍛えれば姿勢が良くなり体のラインも美しく見えるようになります。

まずは腹筋ローラーを使ってみましょう

床にひざをついた状態で、ゆっくり腹筋ローラーを前に転がしていきます。絶対に気をつけたいのは、腰を反らさないこと。すぐに腰痛になります。少し背筋を曲げた状態をキープしてください。

また、お尻が後ろに残って、手だけ前にいくと、腹筋には効かないので、腰から床につけるように動かして下さい。最初の頃は、床ぎりぎりまでやらなくて大丈夫です。

鍛えてない方なら、それをたった2,3回やるだけで、かなり腹筋にくるはずです。

この2,3回を1日おきにやる程度で充分です。10秒もかかりません。毎日やって休息日を設けないと、筋肉は回復せず疲労がたまり強くなりませんから、1,2日に1回の割合が理想です。

次のステップは

同じやり方で、だんだん回数を増やしていきましょう。何週間かたち、回数をこなせるようになり、もっと短い回数で終わらせたいと感じるようになったら、床ぎりぎりまで、進んで下さい。

本当に上体が床に触れるか触れないかくらいです。かなり負荷がかかると思います。これを最初は2,3回からはじめて、また徐々に回数を増やしていって下さい。

この次のステップは、立った状態から、始める方法です。ここにたどりつくまでは、かなりの月日がたっていることだと思います。

できるところまで転がし、少ない回数からはじめ、回数をこなせるようになったら、床ぎりぎりまでやってみてください。それができるころには、全身が筋肉質の上級トレーナーになっていることでしょう。

腹筋ローラーの選び方

1000円代の安いやつでよいと思います。安物過ぎて壊れやすいのは論外ですが、構造としては、棒に車輪がついているだけのものなので、ごちゃごちゃついてなくて、すっきりしたものがむしろおすすめです。

使いこなせるようになり、もっとグリップのよいものが欲しい、もっと静かなのがいい、もっと安定していたほうがいい、と物足りなくなってきたら、少し高めのを検討してみてもいいかもしれません。
執筆者 痩田筋男について