痩田筋男痩田筋男

EMS腹筋マシンをご存知でしょうか?お腹にあてて、プルプルさせる、TV通販やCMでよく見るアレです。アレって、運動いらずで、腹筋がバキバキに割れるって感じですが、本当にそうなのでしょうか?

EMSマシンの理屈としては、電気により腹筋をプルプルさせることで、動いた腹筋が鍛えられるだけではなく、その周辺の脂肪も熱で燃やされる、というものですが、さてさて。。。

流行が来ては去り、また流行っている、EMS

EMSは今から15年ほど前に流行しはじめました。その頃、東京の雑誌編集プロダクションでは、いくつものEMSマシンを買って、自分の腹筋がプルプルいうのを記事にしていたそうです。筋肉が自分の意思ではなく勝手に動いている体験は、衝撃だったといいます。

最も初期の家庭用EMSマシンは、プルプルというよりも、ピリピリして、痛かったといいますが。そうこうしていると、アブトロニックという製品が登場し、藤原紀香さんなどをCMに起用し、爆発的に売れ、社会現象にまでなりました。その後下火になり、世間的には消えたことになったEMSマシンですが、最近また見るようになりました。

これは実は奇特なことです。たわしダイエット、痩せる石鹸、ビリーズブートキャンプ、コアリズムなどなど、過去に特定の製品を使ったさまざまなダイエットブームが起こりましたが、ブームのあとは人に見向きもされないのが常です。再浮上することは、まずありえません。

しかしEMSマシンだけは、見事に社会復帰に成功しました。そしてそれなりに売れているのです。これはただ単に、会社が宣伝にお金をかけているからとか、ラクして効果がある宣伝文句が魅力的だとか、そういう理由だけでしょうか。そのあたりを調べてみました。

EMSってそもそも何?

EMSは Electric Muscle Stimulationの略です。直訳すると、筋肉への電気的な刺激ということになります。

実際の意味に意訳すると、筋肉に電気的な他動運動をさせる、ということになります。

死んだカエルに電気を流すと、ピクピク動くという実験を、昔の学校では理科の授業でやっていたみたいですが、そんな感じですね。EMSの目的は、ただ筋肉をピクピク動かせるのではなく、そうすることにより、筋を訓練し強化させることです。

電気と細胞

もう少し掘り下げると、わたしたちの細胞は、じつは弱い電気を発生させることで、生命を維持しています。

脳が微弱な電気を発生させているのは、聞いたことがあると思いますが、脳みそだけでなく、身体中の細胞も、電気を発しているのです。そしてここが肝なのですが、筋肉を動かすのも、やはり、運動神経を伝ってくる、電気信号なのです。

ですから筋肉を電気で刺激すると、脳みそから命令されたように、筋肉も動くわけです。筋肉は脳みそからの命令だと間違えて、機械からの電気によって、動いてしまうわけです。脳みそのかわりに、外部からの電気でだまして筋肉を動かしてしまうなんて、ちょっと怖いというかSFちっくですね。

でもこの原理を使って、VR(仮想現実)のゲーム業界などでは、触ってもいないゲーム中の物体に実際に触っているように感じたりする、電気信号を発する手袋などを開発していますから、今後どんどん広がっていく技術だと思います。

話がそれましたが、ようはこれらのことを利用して、筋肉を訓練して強化する方法が、EMSなのです。

EMSは本来は病院の医療機器だった

EMSを原理とした機器は、病院などで、医療機器として使われていましたし、現在も使われ続けています。

その主な用途は、4つです。

  1. 痛み止め
  2. 代謝促進
  3. 筋肉トレーニング
  4. 体のスリム化

痛み止めとしては、ある電気の波形が神経に作用し、鎮痛効果を生むとして、関節痛や神経痛の痛みの治療として使われています。

代謝促進では、四十肩や五十肩など、運動不足が原因で起こる予防や治療などに使われています。

筋肉トレーニングとしては、ウォーミングアップや、鍛えるのが比較的難しい深層部にある筋肉の強化などです。欧米ではオリンピック選手の筋力強化に使用されているようです。

体をスリムにするEMS

体のスリム化としては、お腹とおしりが典型的な対象となります。電気信号による筋肉の収縮が、糖や脂肪を消費させ、筋繊維も太くなり、基礎代謝も上がるので、お腹やおしりが引き締まるという効果があるようです。

通常の腹筋運動によるお腹の引き締めと違う点は、普通は疲労がたまると、脳からの電気信号が止まり、トレーニングを続けることができません。脳が体に休めと命令するからです。

しかし、この脳から出る電気信号と同じ電気信号を体の外から与え続ければ、限界を超えて腹筋運動などを続けられるということです。脳のストッパーをはずして、ニセの電気信号を、筋肉に与え続けるわけですね。

じつに怖い発想ですが、だからこそ短期間で効果がでるし、医療用EMSは、的確な医師の指導のもとでのみ、使用することができる機器なのです(ですからエステでは法律的に使用不可です)。

このあたりは、ドイツのシーメンズ社が開発した、「ステレオダイネーター」という何百万円とする製品の名前で検索するとたくさんの症例がでてきます。

家庭のEMSも医療で使われるEMSも原理は同じ

もちろん、医療用のものは、通販で買えるようなEMSマシンと違って、数百万円という桁違いの値段がしますし、整体院でもエステでも、薬事法により、利用はできません。

個人が自宅で使えるようなものではありません。しかしながら、筋肉を電気によって刺激するという原理は、医療用も家庭用も同じです。

家庭用EMSと医療用EMSは何が違うのか

では、家庭用EMSと医療用EMSは何が違うのでしょうか。単純に言うと、最大出力値が違います。電気パルスの周波数が全く異なるのです。家庭用EMSは、1~90Hz程度。

いわゆる低周波といわれる範囲です。皮膚の下数ミリで大半が分散して、残ったものが筋肉に届きます。痛みを感じやすい周波数帯でもあります。

いっぽう、30分で○千円を払って使わせてもらう医療用のものは、1~10000Hzと、まったく桁外れです。ちなみに1000~2000Hzは中周波といわれ、皮膚の下3~4cmまで浸透し、筋肉に刺激を与えることが出来ます。

この帯域の場合、むしろ筋肉の動きを感じにくいようです。それ以上の周波数は高周波といわれ、皮下10センチ以上まで届き、深層部の筋肉まで届き鍛えることが可能です。

家庭用EMSは効かないのか?

では低周波の家庭用EMSは効かないのでしょうか?結論からいえば、医療用と比べたら効かないが、効く可能性はゼロではない、といったところでしょうか。

もし家庭用EMSをつけてみて、本当に腹筋がぴくぴくするようであれば、それはちゃんと電気信号が届いており、あなたの腹筋が、それを脳からの電気信号命令だと勘違いして動いているという、EMSの原理にのっとって機能しているわけです。

また筋肉がぴくぴくしているということは、あきらかに収縮運動を腹筋がしているわけですから、エネルギーもある程度は消費されているはずです。

医療用と比べたら、筋肉の収縮刺激は、とてつもなく少ないですが、少なくともゼロではないわけです。やらないよりはマシかもしれませんし、根気よく続けていけば、何らかの効果が見られる可能性すらあります。

そしてなによりも、もしあなたがこれまでお腹のへこませるために、何もやってこなかったのであれば、何かをやったという、記念すべき第一歩になります。一番いいのは運動。最も悪いのは、何もしない。EMSはその中間でしょうか。

EMSトップ製品

どの製品が人気なのか調べました。

シックスパッド

リアルマドリッドのロナウドが広告塔になっているやつですね。わたしも広告は見たことがあります。これまでの家庭用EMSと違って、腹筋のシックスパッドに合わせたデザインで、斬新さはありますね。

ネットで探してみましたが、さすがにSEO対策されたばかりのサイトで、どれが本当の口コミかサクラかわからない(^^ゞ。ちなみに周波数は20Hzのようです。

スレンダートーン

シックスパッドよりも周波数は高めのようです。値段はシックスパッドより少し安めのようです。持ち運びはより面倒なようです。シックスパッドもこの製品も機能としては五十歩百歩といったところです。

せっかく鍛えた腹筋も、脂肪が邪魔だと見えない

最後に付け加えたいと思います。仮にもし、あなたがEMSによって、鋼のような腹筋を鍛えられたとします。しかしそれとはまったく別に、問題が生じるでしょう。それはお腹周りの脂肪です。

どんなに立派な腹筋でも、その上に脂肪がたっぷりのっていれば、それはただの、ぽっこりお腹です。

お相撲さんは、あのすごいブチかましに耐えるため、常人離れした強靭な腹筋を有しています。でも力士の見事なシックスパックを見ることはできるでしょうか。
執筆者 痩田筋男について

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